価値観シーソー

ITベンチャーで働く2児のパパ。育児、IT、書評などを綴っていきます。

所沢市の育休退園ルールに条件付きで賛成する理由

先ほどFacebookに気になる記事が流れてきました。

togetter.com


これに関して、少し思うところがあったのでブログに残しておきます。

実体験に基づき、この育休退園ルールというのは非常にいい制度だと思います(後述)。ただし、それは「復職時の再入園保証とワンセット、もしくは制度導入後の流入者への適用とする」という条件付きです。


育休退園ルールは理に適っている

地方自治体への助成金カットが叫ばれる昨今。各自治体にとって重要なのは税収の確保。

そのためには住民の定着新たな住民の流入を誘致する必要があります。特に若い世代は長期的な税収源となり得るため、積極的に働きかけたいところ。


その若い世代が気にかけているのが待機児童数。特に女性のキャリアの多様化が進んでいる今、出産後も働き続けたいという方が増えてきています。


出産後の復職を前提とする場合、「待機児童数が多い=産んでも保育園に入れられるか分からない=職場復帰できるか分からない」ということになるので、必然的に待機児童数の少ない自治体を選ぶことになります。


育休退園ルールは待機児童数の削減に効果的

さて、所沢市の育休退園ルールですが、待機児童数の削減には非常に効果的です。そして、待機児童数が減れば、若年層の流入が活性化し、税収が増えていくことになります。よって、この点だけをみれば非常に理に適った政策であると言えます。


ちなみに、所沢市は昨年度の埼玉県内自治体別待機児数ワースト10にランクインしてます。

■ 埼玉県内自治体別待機児数ワースト10(平成26年4月1日時点)
1位 さいたま市128人(+11人)
2位 川越市119人(+7人)、川口市119人(+9人)
4位 草加市 74人(△2人)
5位 和光市 53人(+14人)
6位 蕨市  47人(+)
7位 朝霞市 38人(△3人)
8位 三郷市 36人(+7人)
9位 新座市 33人(△45人)
10位 所沢市 32人(△16人)

引用元:所沢の待機児童数は前年比16人減の32人 - 所沢 ところメモ

テコ入れするポイントとしては間違っていないんじゃないでしょうか。



育休退園ルールは復職時の再入園保証とワンセットであるべき

じゃ、なんでこの育休退園ルールがネット上で炎上しているかというと、


「退園後の再入園は優遇されるものの、確約されないから」


これに尽きます。


news.tv-asahi.co.jp

上記リンクのニュース映像内で「妊娠する時期を間違えたかも」とコメントする女性がいらっしゃいました。これって非常に悲しいことですよね。妊婦さんに強いストレスがかかれば、お腹の赤ちゃんにもいいわけがありません。せめて、制度導入後の流入者からの適用にしていただきたいです。


仮にこの制度がうまくいって待機児童数が削減されれば、一人目の子育てを考える夫婦の流入は増えるかもしれません。しかし、このままでは二人目を身ごもったときに他の自治体へと流出していってしまうでしょう。

大切なのは流入だけじゃありません。その後の定着も等しく重要です。ぜひ復職時の再入園を保証していただき、育休退園ルールのロールモデルになってほしいと思います。



ボクが育休退園ルールを推す理由

実は我が家も第二子の息子くんが生まれたとき、第一子の娘ちゃん(当時2歳)は退園させられました(復園保証あり)。しかも、自治体の制度ではなく、保育園の方針で。ちなみに入園時には一切説明なし。

ボクらが住んでいる自治体は待機児童数ゼロだったし、保育園にも空きはありました。そういう意味では今回の所沢市の件よりも理不尽に感じました。

「産直後は大変だから預かってほしいし、せめて午前保育ぐらいしてほしい。せっかく仲良くなったお友達と遊べなくなるのはかわいそう」というのが本音。

しかし、園長から

「子どもは親と一緒にいたいものよ。そして、上の子も第二子の子育てに参加させてるのがとても大事なの。どうしてもってときは臨時で預かってあげるから頑張ってみなさい」

と言われて、ちょっと考えを改めました。


そもそもこの提案って園から見れば保育料収入が減るわけだしメリットないんですよね。だとすると、園長はいままでたくさんの子どもたちを見てきたうえでそう思ってるんだから、ここは信じてみようかなと。


受け容れてくれた奥さんには本当に感謝です。


結果的には「退園させてよかった」

結果的には退園させてよかったと思ってます。それはこの経験を通じて娘ちゃんが精神的にとっても成長してくれたから。

当時2歳だった娘ちゃんですが、本当によく子育てを手伝ってくれました。赤ちゃん返りをすることもなく、精神的にもとても安定していました。新しく生まれた「弟」という存在と真っ正面から向き合ったのがよかったのかなと思います。


「せっかくできたお友達と遊べないのはかわいそう」という件ですが、これは完全に杞憂でしたね。「保育園に行きたい」と娘ちゃんがぐずったことは記憶にないです。近所でお友達にばったりということもありましたが、そういうときに気まずい思いをするということもありませんでした。

現在は娘ちゃんも復園しておりますが、退園する前のお友達とも仲良く遊んでます。


もちろん、これが全てのご家庭に当てはまるとは思ってません。あくまでうちには合っていたという話です。もし退園させずにそのまま通わせていたら、という場合とは比較できないですし。


じゃ、何のためにこの記事を書いたのか

今回こうして記事を書いたのは第二子出産時に第一子を退園させるという選択肢についても検討してほしかったからです。

もしかしたら、今回の所沢市のように唐突に育休退園ルールが通知されるというケースもあるかもしれません。

そのときに「うわー、最悪。マジありえねぇ。引っ越しだ、引っ越し!」となるんじゃなくて「退園させるのもありなのかもね」と思っていただければ幸いです。


議論や考慮すべきところの抜け漏れもあると思いますので、ご意見いただけると嬉しいです。